越前フールス和紙 福乃ここ千について

 2006年、東京浅草 ツバメノート社を尋ねた時、渡辺専務がポツリと寂しそうに「昔使っていた紙(バイキングフールス)は書き心地が良かった、何よりツバメノートのマークが透かし込んであってね、趣きがあったんだよ。」マーク(ダンディーロール)の透かしは、会社のアイデンティティーを示すものであり、誇りでもある。横で社長がニコニコしながら頷いている。残念ながら合理化の波に飲まれ、製紙会社の合併に伴い機械を廃棄してしまったそうである。十條製紙製のその紙はもう生産できない。

 その後ツバメフールスは、大きな機械で生産ロットも多く、何より透かしの金型が大きい機械に合わせて作る為、生産コストに合わず断念。以降ツバメノートに透かしは無くなった。
 私の私考だが、フールス紙とは逆輸入された和紙の竹の簀目であり、1600年〜1900年代に輸出されていた和紙を、欧州が摸倣したものと思われる。

 コンケラーレイドなどに見られる、透かし模様はまさに和紙の竹の簀目である。色も越前和紙鳥の子色のほうが古い。紙漉き文化が確立していた日本の和紙。遠い異国の和紙に、素直に評価し品質の高さを摸倣した。その名残が、フールス紙なのであると考える。

 福井の文具店として、使命のように思えた。自分にしか出来ないこと、
「和紙でノート紙を漉く、後世に残す。」事を決めた。


 2008年 福井県工業技術センターに、萬年筆くらぶ「フェンテ」でべそ会長から分けて頂いたバイキングフールスを、持ち込み分析した。
 書き心地の最適条件の検証、指標をバイキングフールスとし、目標値とした。万年筆インクと滲み、平滑、透かし、PH、色、厚み、表裏差など課題の克服に多くの人を巻き込み、行動を起こしてから8年の歳月が掛かってしまった。

 2014年11月14日 福井県工業技術センターにて「越前フールス和紙 福乃ここ千」を発表した。
 千年保存可能なPH7前後の完全中性和紙である。書き心地と千年保存で、ここ千と名づけた。

 昨今の無機質でデジタル(つるつるした)な紙ではなく、適度な平滑(引っかかり)は、書く者に悦びを感じ、和紙独特の風合いを残し、心を和ませ思考の邪魔をしない。和紙の色気を残した。

 

 

谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」(いんえいらいさん)にこんな記述がある。

われわれは西洋紙に対すると、単なる実用品と云う以外に
何の感じも起らないけれども、和紙の肌理(きめ)を見ると、
そこに一種の温かみを感じ、心が落ち着くようになる。
同じ白いのでも、西洋紙の白さと和紙の白さとは違う。

西洋紙の肌は光線を撥ね返すようであるが、
和紙の肌は柔かい初雪の面のように、
ふっくらと光線を中へ吸い取る。
そうして手ざわりがしなやかであり、
木の葉に触れているのと同じように物静かで
しっとりしている。


上質な和紙に、書くことを愉しみませんか、
心を綴る大切な時間にしてほしいと、考えています。

店主 角谷恒彦

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